コラム

コーチングで使われている心理学「NLP」とは? ビジネスシーンで活用される主な技法4選

今や、教育やスポーツのみならず、
ビジネスの世界でも取り入れられている「コーチング」。

コーチングとは、観察をしながら適切な質問を投げかけていくことで、相手の内面にある
答えを引き出すための手法です。個々人の自主性や可能性を最大限に尊重しつつ、目標達成に向けてモチベーションを高めていくことで、個人だけに留まらず組織全体のパフォーマンスを上げることができるようになるとも言われています。

そんなコーチングでは、一体どのような心理学理論が用いられているのか、興味をもつ人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、コーチングで使われている心理学の代名詞のひとつ「NLP」についてと、
ビジネスシーンでもよく活用されているNLPの技法を4つご紹介いたします。

NLPとは?

NLPとは、神経言語プログラミングのことで、
英語の「Neuro Linguistic Programing」の略称で呼ばれています。

NLPは、1970年代にカリフォルニア大学心理学部の生徒であり数学者でもあった
リチャード・バンドラーと言語学の助教授ジョン・グリンダーによって開発・体系化された心理学です。

元々、欧米を中心に心理セラピーの分野で急速に広まりましたが、その後ロバート・ディルツ、ジュディス・ディロージャ、コニレイ・アンドレアス、スティーブ・アンドレアス、
タッド・ジェームスといった人々の功績によってさまざまな分野で活用されるようになりました。現在、NLPは心理セラピーのみならず、ビジネス、医療、スポーツ、政治、教育
など、あらゆる分野で活用されています。

NLPがもたらす5つの効果

NLPは心理的コミュニケーションの手法であるとともに、自己啓発の方法でもあります。
それではNLPのもたらす主な5つの効果についてご紹介いたします。

①モチベーションを上げ、「なりたい自分」へ近づく
自分自身に対するネガティブなイメージを転換し、まだ自分で自覚できていない
「新たな自分」の資質に気づくことで、モチベーションを上げることにつながります。

②リーダーシップを発揮できるようになる
自分の感情、思考、行動をコントロールすることで、組織の中でリーダーシップを
発揮できるようになります。

③コミュニケーションが向上する
表情や話し方などといった自身のコミュニケーションが改善されることで、
これまで以上に相手と信頼関係を築きやすくなります。

④多くの人に影響を与えられるようになる
コミュニケーション力が改善・向上されることで、多くの人の心を動かし
影響を与えられるようになります。

⑤憧れの成功者と同じように物事を達成できるようになる
いわゆる成功者と呼ばれるような人を知り、その行動を真似することで、
彼らに共通する思考パターンや行動パターンを身につけることができるようになります。

NLPはアメリカの多くの著名人も学んでいる

アメリカで誕生したNLPは、本国でも高い認知度を誇っています。
これまで多くの著名人もNLPを取り入れたとされ、歴代の大統領(レーガン元大統領、
クリントン元大統領、オバマ元大統領など)も学んできたと言われています。

「大統領がなぜNLPを取り入れる必要があるのか?」と思われるかもしれませんが、
他民族が集まるアメリカにおいては、演説でより多くの国民の心を掴むことを目的に
活用されてきたようです。過去には、複数名の専属NLPトレーナーをつける大統領まで
いたようです。

さらに、スポーツ界でもNLPは活用されています。トップテニスプレーヤーの
アンドレ・アガシやゴルフプレーヤーのタイガー・ウッズもNLPトレーナーによる
コーチングでメンタルを整えていたことで有名です。

【NLPを取り入れてきた人々】
・アメリカ大統領(レーガン元大統領、クリントン元大統領、オバマ元大統領など)
・トップスポーツアスリート(アンドレ・アガシ、タイガー・ウッズなど)
・トップアーティスト(レディー・ガガ)
・士業(医師、弁護士など)
・経営者など

現在、NLPは著名な一部の人々だけのものではなく、ビジネスマンから主婦まで幅広い
層の人々にも普及しています。一般的な人々にとっても「自己を変えることができる手法」として高い評価を得ているようです。

NLPの技法とは?ビジネスシーンでも使える手法4選

これまで多くの人々によって学ばれてきたNLPには、どのような手法があるのでしょうか。
ここではビジネスシーンで活用されている代表的な手法4つをご紹介いたします。

①モデリング
モデリングとは、「真似をする」ことです。最初に自分がなりたい人や目標とする結果を
出している人を見つけ、その人物と自分自身とを照らし合わせることで、自分がその人に
近づくイメージをします。次に、なりたい人をイメージした状態で実際にその人の言動
(言葉遣い、行動、価値観など)を真似していきます。モデリングを実践することで、
成功者や目標となる人と同様の結果を出すことができるとされています。

②ペーシング・ラポール・リーディング
ペーシング・ラポール・リーディングとは、信頼関係の構築から変化までの流れのことです。ペーシングはラポール形成のために行われ、具体的には相手の話し方や状態、
呼吸などのペースを合わせていきます。ラポールは前述したペーシングを行い、相手との信頼関係が構築された状態をいいます。リーディングはラポール形成後に注目させたい方向へ変化をさせリードすることです。
ペーシング・ラポール・リーディングは、相手の警戒心をほぐして心を開かせ、深い信頼関係をつくるためのコミュニケーションスキルとなります。

③リフレーミング
リフレーミングとは、違う見方を示すことです。人は負の感情を抱いている時ほど
一つの見方に捉われることが多くなりがちです。そんな時に別の方向性を示すことで、
負の感情から抜け出しやすくしていきます。さらに、状況を変えることでこれまで眠っている能力を引き出したり、発揮できるようになったりするリフレーミングもあります。

④アイ・パターン(=アイ・アクセシング・キュー)
アイ・パターン(別名「視線解析」)とは、相手の視線の方向を読むことである程度の
考えを読む技法です。アイ・パターンは20歳くらいまでに確立されると、それ以降は変わることがないといわれています。

視線が左上に動く時 記憶された視覚イメージ
視線が右上に動く時 構成された視覚イメージ
視線が水平かつ左に動く時 記憶された音
視線が水平かつ右に動く時 構成された音
視線が左下に動く時 内的対話
視線が右下に動く時 触覚、体感


もし相手の視線が右上に行っている時は、映像的に新しいイメージを思い浮かべている時であることが推測されます。一方、左上に視線が行っている時は、相手がなんらかの過去の映像を思い出している時です。

ビジネスシーンで対話をスムーズに進めたい時は、相手の視線をさりげなく確認しながら
話をすることで、うまく進めることができるようになります。

まとめ

今回は、コーチングで使われているNLPについてご紹介いたしました。
どのように伝えれば相手に伝わるか、また相手がどのように考えるのかを知ることで、
実際のコミュニケーションにも活かせるようになるだけでなく、人生全般に変化をもたらす学びとなる可能性もあるでしょう。

技法はご紹介したもの以外にもたくさんあるので、興味がある人は一度本格的にNLPを学んでみてはいかがでしょうか。

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