インタビュー

コーチングは、心を整えるために必要なメンテナンス

感染症の世界的流行下にある現代では、心の健康を整えることがとても難しくなってきています。そんな中、自らを見つめ直し、心を元気にするためにコーチングを選ぶ方も少しずつ増えてきました。

今回は、「第二のお母さんが当たり前になる世の中をつくる」をモットーに活動し、おせっかいなご家庭サポート「東京かあさん」を運営している、株式会社ぴんぴんころりの代表取締役・小日向えりさんにお話を伺いました。

小日向えり 氏
株式会社ぴんぴんころり 代表取締役

1988年1月17日、奈良県北葛城郡生まれ。中学時代からモデルに憧れ、高校1年生の時にスカウトで芸能界入り。横浜国立大学教養人間科学部1年在学中に“歴史アイドル(歴ドル)”としての活動を始め、「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」(テレビ朝日系)などのクイズ番組や「日本最強の城」シリーズ(NHK)などの歴史エンターテインメント番組、NHK高校講座「世界史」「日本史」などの司会で活躍。2017年、「株式会社ぴんぴんころり」を設立。2019年3月に「東京かあさん」を開始。20年5月に芸能界を引退し、現在はビジネスに専念している。

周囲やSNSでのコーチングの体験談に触発されて

友人や家族からコーチングっていうキーワードを聞いたのが、最初のきっかけです。コーチングを受けて、会社経営を辞めた方がいるらしいという話を聞いて、そんなに価値観がガラッと変わるものなんだと。「Clubhouse」が流行ってた時に、コーチングの部屋があったので入ってみたら、そこでも「人生観とか仕事観とかがガラッと変わって良くなった」という話を耳にしたんですね。

それで興味が湧いて、受けてみたくてコーチングをネットで調べたところ、サービスがいろいろあってよく分からないし、その割に実際にコーチングを受けた側のインタビューって少なくて。Facebookで「おすすめのサービスとか先生とかいますか?」って呼びかけたところ、いろんな人がサービスやコーチの方を勧めてくれて、そこから今のコーチの方を選びました。

自分の5年後、10年後の目標を設定する

私がまず利用したのはPrismy(プリズミー)っていうコーチングのサービスでした。しかし、マッチングした方とは相性が合わず、現在は個人でコーチングをされてる方にコーチをお願いしています。私を担当してくださってるコーチの方は会社経営にも携わっているので、プライベートだけでなくスタートアップや経営の知見も深くとても助かっています。

コーチングは、1回につき5万円、トータル30万円のコースを受けています。「このときまでに申し込むと最初の3回は半額になる」っていうキャンペーンがあったので、それを利用しました。

コーチングの流れとしては、私自身の話をしながら、ゴール設定ワークシートを書いていきます。ワークシートには仕事や趣味、人間関係など細かくいろいろな項目に分かれていて、現在の姿をまず記入してから、5年後、10年後に叶えたい目標設定を1個1個考えていきます。ゴールを設定することで、自分の方向性がわかり、そのために何をするのか話し合えるので、コーチングの内容が濃密になっていると感じます。

そうやって60分のコーチングを受け終わる頃には新しい物差しを手に入れていて、それを意識しつつ次のコーチングを受ける時まで過ごしてみようという感じです。

コーチングでもらえた、本質的かつ多様な種類の気づき

実際にコーチングを受けていく中で、たくさんの気づきや本質的な問いをもらえました。

コーチングを受け始めの頃、「健康のために朝型の生活にした」という目標がありました。するとコーチの方は「そもそもなぜ朝早く起きる必要があるんでしょう。早起きできないことで、そんなに困っているようにあまり感じないので、早起きしなくてもいいんじゃないですか」って言われてハッとしたんですね。「早起きしなきゃいけない」必要性を考えさせられました。

仕事に関しては、「いくつもの会社を創る、連続起業家(シリアルアントレプレナー)が向いてる、というかなるんじゃないですか」って言われたとき、そこでも深く納得している自分に気づきました。仕事では「第二のお母さんが当たり前になる世の中にする」ビジョンの実現に向けて、今の会社の事業に実際に取り組んでいるんでいます。

コーチの方から、「スキルマッチングサービスを本当はやってみたいんじゃないですか?であれば、その姿を毎日強く想像してみてください。お昼休憩のときに思い出すのもいいでしょう」って言われて。その通りにしてみると、これはできるっていう気持ちになり、実現する未来が具体的に想像できるんです。

私はコーチというよりむしろメンターに近いなと感じています。コーチの方からはいろいろな言葉をもらいますし、どれも印象深いんですが、「心が動くときは心理的非柔軟性(※)の現れです。日常生活で感情を揺さぶられたことを覚えておいてください」とか、「ありがとうと言われることが報酬だと危ない」、「何かを妄想したり、何かに没入する時間を増やす」、「没入感や臨場感が高いと言葉の伝わり方が変わる」といった言葉は、言われた時に書いたメモを見返すほど今でもすごく印象に残っています。

※心理的非柔軟性:行動理論をベースとした認知行動療法の一種、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and Commitment Therapy:ACT)の基礎となる考え方の一つ。

「Want to」と「Have to」の違いを意識する

一番意識するようになったのが、「Want to(したいこと)」と「Have to(やらねばならないこと)」の違いです。

他のコーチングではあまり聞かないらしいんですが、「Want to(したいこと)」と「Have to(やらねばならないこと)」の違いを意識することは、私が受けているコーチングでは一番重視しているポイントで、「本当にそれは『Want to』ですか、『Have to』じゃないんですか」ってすごく問われます。先ほど朝早く起きるにはどうすればいいかという話をしたんですが、そのときも何度も問いかけられるうちに、これって「Want to」じゃなくて「Have to」かもって気づくんですね。

「Want to」と「Have to」とが混同したり、手段と目的が入れ替わったりするのはよくあります。だから、コーチングを通して自分の考え、将来本当に実現したいこと、挑戦してみたいことを「Want to」と「Have to」の違いの意識によって整理していくと良いと捉えています。

高みを目指したい人、向上心がある人におすすめ

コーチングに興味を持ち始めたころに知り合いから、「マイナスをゼロにするのはカウンセリング、ゼロからプラスに持っていくのがコーチングだよ」と教えてもらいました。それを聞いて、悩むときに受けるのはカウンセリングで、もっと何か目指したいものがあるときはコーチングを受けたほうがいいんだと。

そういう観点から考えると、今のところ悩みはあまりないんですが、仕事やプライベートをより充実させたいっていう向上心はすごくあるんですね。なので悩みはないけど、さらに成長したい、高みを目指したいっていう方にはおすすめです。

コーチングは整体と一緒で心のメンテナンス、定期的に受けることで心を整えていくものだと思っていて。心の整体と言ってもいいかもしれません。私自身、1ヶ月~1ヶ月半に1回必ず、体のメンテナンスをしにカイロプラクティックに通っているんですが、コーチングもそれと同じじゃないかなと思っています。

まとめ

「いかに『Have to』をなくして、人生の時間を『Want to』でいっぱいにしていくかが、心身ともに健康でいられる秘訣なのかなと思いました」と笑顔で語る小日向さん。コーチングでは、話し方や人生観、仕事観が変わるといった受けた後の効果に目がいきがちですが、コーチと話すことで自分の考えが整理される側面もあることを、小日向さんとのインタビューを通して感じました。

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